受付

お知らせ

News

  1. トップページ
  2. お知らせ
  3. 鉄欠乏性貧血の治療

2026/03/15

  • お知らせ

鉄欠乏性貧血の治療

日本鉄バイオサイエンス学会から「鉄欠乏性貧血の診療指針」が2024年7月15日に発刊されて、2025年7月からWEB公開されています。

鉄欠乏性貧血は、体内の貯蔵鉄が枯渇し、赤血球造血に必要な鉄が骨髄の造血系に供給されないために発症します。鉄需要の増加、あるいは供給量の減少が原因です。ヘモグロビン濃度が成人男性13g/dL、女性12g/dL未満で診断される貧血で、貯蔵鉄フェリチン12ng/mL未満、トランスフェリン飽和率(TR飽和率)16%未満の時には鉄欠乏貧血を疑います。出血の原因として最も多いのは月経で、過多月経では子宮筋腫などの検索が必要です。男性や閉経後の女性の場合は、消化管からの出血を疑い、上下消化管の検査を予定します。

 

原因検索と共に経口鉄剤による治療を開始します。クエン酸第一鉄;1日当たりの鉄量100-200㎎(フェロミア、クエン酸第一鉄ナトリウム)、フマル酸第一鉄;1日当たりの鉄量100㎎(フェロム)、乾燥硫化鉄;1日当たりの鉄量105-210㎎(フェロ・グラデュエット)が第一選択ですが、悪心・嘔吐、腹痛などの消化器症状を高頻度で起こします。服用時間を日中から就寝前にずらす、小児用製剤である溶性ピロリン酸第二鉄;1日当たりの鉄量12-90㎎(インクレミン)を用いて少量ずつの投与を行う(他剤に比べて1日当たりの補充量が少ないため)などの工夫もありますが、なかなか難しいです。クエン酸第二鉄水和物;1日当たりの鉄量120-240㎎(リオナ)は経口他剤に比べて悪心・嘔吐が少ないので、リオナへ変更することで上手くいくことがあります。

 

日本茶や紅茶に含まれるタンニン酸、炭酸マグネシウム、胃酸分泌抑制薬などは鉄吸収阻害があるため、経口鉄剤と同時内服を避ける必要があります。

 

嘔気・嘔吐などの消化器症状のために内服困難の時には静注鉄剤を使用しますが、今までの含糖鉄剤(フェジン)は、1日当たりの鉄量40-120㎎であり、頻回投与が必要でした。最近では、1回により多くの鉄を投与することが可能なカルボキシマルトース第二鉄;1日当たりの鉄量500㎎(フェインジェクト)やデルイソマルトース第二鉄;1日当たりの鉄量500-1000㎎(モノヴァー)が使用可能です。