男性型脱毛症（AGA）の治療

●20代前半ば

AGA治療には慎重になるべきで、まずは生活習慣の見直しとヘアケアからになります。睡眠不足、栄養バランスの偏った食事、過度なストレス、喫煙や飲酒は頭皮環境を悪化させます。
洗浄力が強すぎるシャンプー（陰イオン性界面活性剤のラウリル硫酸Na）は頭皮を乾燥させるため、低刺激性の界面活性剤（アミノ酸系など）が好まれます。また、髪の表面をコーティングするジメチコンやジメチコールなどのシリコン製品も、頭皮環境を整えるためにノンシリコン製品への変更が推奨されます。
シャンプー後には育毛剤を使用します。発毛効果はありませんが、頭皮環境を改善し、脱毛症の進行を緩徐にする効果が期待できます。

●20代後半

生活習慣の改善や育毛剤の使用を続けても脱毛症の進行が気になる場合、20代後半になったら発毛剤（ミノキシジル外用薬）を使用します。血管拡張により血流を改善して毛母細胞を活性化して発毛を促します。
第1類医薬品として市販されているため、薬局やネットで容易に購入可能です。日本国内で承認されているミノキシジル外用薬の最大濃度は、男性用は5％、女性用で1％です。

●30代前半

守りの治療（抜け毛を止める内服薬の開始）と攻めの治療（発毛を促すための併用療法）を組み合わせることになります。
抜け毛を止める（DHTの生成を抑制）内服薬はフィナステリド、発毛を促すのはミノキシジル外用液です。フィナステリド（プロペシア）はAGA治療薬として承認されています。自由診療（適応内自由診療）としてご提供可能です。

●30代後半

フィナステリド内服とミノキシジル外用液の治療でも発毛効果が不十分の場合には、ミノキシジルを内服へ切り替えます。
ミノキシジル内服薬は国内未承認薬です。発毛効果は強くなりますが、血圧低下、動悸、浮腫、多毛症の副作用のリスクも高くなります。ミノキシジルはもともと降圧薬として開発された血管拡張薬です。1960年代に米国で高血圧治療薬として作られましたが、その副作用として多毛が確認され、後に発毛剤へと転用された経緯があります。
また強力な心血管系への作用から、狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全などの心疾患の既往歴がある方は、ミノキシジルの内服は使用注意になります。
このようなリスクを納得し同意書にご署名をいただいた方に限り、自由診療としてご提供しています。（適応外自由診療）
ミノキシジル内服薬開始して約2週間から1ヵ月後くらいに、一時的に抜け毛の量が普段より増加します（初期脱毛）。
ミノキシジルの作用によって乱れていたヘアサイクルが正常化する過程で起こります。新しい健康な髪の毛が毛根で成長を始めると、それまで生えていた休止期の古い髪の毛が押し出される形で抜け落ちます。
1ヵ月から2ヵ月程度で自然に治まる初期脱毛は、副作用というよりは薬が効き始めている証拠であり、発毛効果を実感するまでには最低でも6ヵ月程度の期間が必要です。

●40代

フィナステリド内服で効果が薄れてきたときには、より強力なデュタステリド（ザガーロ）に変更する選択肢もあります。
デュタステリド（ザガーロ）もAGA治療薬として承認されています。自由診療（適応内自由診療）としてご提供可能ですが、性機能障害や肝機能障害など、フィナステリドに比べてわずかに副作用が高まる可能性があり、定期的な血液検査が必要です。

●50代以降

AGAは一度治療を始めると、その効果を維持するためには生涯にわたって継続することが基本となります。
しかし身体への負担も考慮して、50代以降は治療の強度を緩める選択肢も視野に入ってきます。ミノキシジル内服を隔日投与とする、内服から外用液へ切り替えるなどです。 また、50歳以上で前立腺癌マーカーのPSAをチェックする場合があると思います。PSAはフィナステリド内服で約50％低下するため、フィナステリド投与中のAGAに対して、前立腺癌診断の目的でPSA測定する場合は2倍した値を目安とします。

女性型脱毛症（FPHL）の治療

当クリニックでは、内科的合併症を有するまたは、
腎移植後でAGAやFPHLの治療をしていいか迷っている方に対しても
治療をプランニングしていきます。
初回受診時は昼からの予約をお願いします。