2026/01/26
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CKD(慢性腎臓病)に対する医療費を考える
日本では総人口が減少する中で、65歳以上の高齢書の割合は上昇し、2065年には約2.6人に1人が65歳以上、訳3.9人に1人が75歳以上になると予想されています。高齢化が進むにつれて年々医療費も増加して、日本の医療課題となっています。日本人の死亡リスクを高める疾患として注目されているのがCKDです。CKDは日本人の2000万人(20歳以上の5人に1人)が罹患している新たな国民病であり、今後も更に増えることが予想されます。
CKD診療ガイド2024
CKDの治療目標は、①末期腎不全への進展阻止、②心血管疾患の発症予防(CKDでは心不全が起きやすくなります)、③死亡リスクの軽減ですが、SGLT2阻害薬であるフォシーガ10㎎はすべてを改善しました。
N Engl J Med 2020; 383: 1436-46
医療費増加は大きな社会問題になっています。CKDに対して費用対効果が大きい治療を選ぶ必要があります。費用対効果の多くはQALY(質調整生存率)やICER(増分費用効果比)を用いて評価します。QALY;Quality of life(生活の質)を考慮した生存年数、ICER;新しい治療が1QALYを獲得するためにどれくらいの追加費用がかかるかと定義されます。日本ではICERが500万円/QALY以下が費用対効果の良い指標とされますが、フォシーガ10㎎は総生存年数の増加(0.84年)、総QALYの増加(0.68)、ICERは127万円/QALYで費用対効果に優れることが示されました。
Clin Kidney J 2024; 17(2): sfae025
ちなみに、心不全入院1回あたりの日本の医療費は約100万円/年です。
また、CKDG5から血液透析に至ると1人に対して日本では年間約480万円が必要です。患者数が多いため医療財政への負担が大きいことが指摘されています。
日本透析医学会雑誌2016; 31(1): 90-103
腎移植では移植した1年は高額ですが、2年目以降は透析より大幅に安くなるため、医療経済的にも良いとされています。積算総医療費は、移植後20ヵ月で生体腎移植と血液透析が逆転。献腎移植(亡くなった方からの移植)でも28ヵ月で逆転する日本のデータがあります。
移植. 2009; 44(1): 18-25
まとめると、CKD早期からSGLT2阻害薬を開始して、CKDの治療目標である①末期腎不全への進展阻止、②心血管疾患の発症予防、③死亡リスクの軽減を目指します。にもかかわらず、CKDG5に至ってしまったら、生命予後、QOL、医療コストを考えて、可能であれば腎移植を考慮することになります。
生産年齢人口の減少、高齢者の増加、医療費の増大から、費用対効果の高い医療に資源を集中することが国策レベルで求められています。
「CKDで費用対効果が高い介入」とAIに入れてみると、高リスク群(糖尿病・高血圧・高齢者)に絞ったスクリーニング(尿アルブミン+eGFR)、SGLT2阻害薬、RAS阻害薬、厳格な血圧管理、腎移植の5つがヒットします。スクリーニングから行うためには日赤に在籍しないほうがやりやすいです。当クリニックですべてフォロー可能です。




